原付スクーターは新車にしなはれ
よくある質問で
「スクーターの何か安い中古ありません?」
というのをよく聞かれます。
なので今回は中古スクーターのリスクについて話そうかと思います。
最近は10万円以下で乗れるような中古スクーターはまともな店舗ではまずないはずです。
何故かって?
そりゃ普通に商売してたら、お客さんのことを考えると店頭に並べるのが難しいからです。
①まず値段があわない
仮に10年前の原付の本体を4万円で仕入れてきたとしましょう。
タイヤやブレーキの消耗品を交換して、痛んだ外装を交換して、エンジンオイルなどの定期交換部品を取り替えてってします。
程度にもよりますが、4万円かかったとして8万円の原価となります。
そこから利益を3万円仮に頂いたとしましょう。
そうすると本体価格で11万円の原付中古が出来上がります。
今現在の新車で販売されている原付スクーター、スタンダードなタイプであれば定価で155,000円です。
何年も前の中古バイク、しかも誰がどういった乗り方をしたかも分かりません。
車と違って車検もないためメンテナンスをどんな風にしてくれてたかも分かりません。オイル交換をしてくれてたかも分かりません。
もちろん納車整備のときにチェックは各店舗さんでしてくれてるでしょうが、機械はあくまで機械。いつどんなトラブルが起きるかまでは予想出来ません。
上のバイクみたいにエンジンとかが見えていれば見てわかる部分も多いですが、スクーターになると外装のカバーさえ新しければ新品同様になります。
お客さんから持ち込まれたスクーターの修理をしていると、そうやって見た目だけキレイになったスクーターのトラブルなんて一杯あります。
これが本体価格が高い車とかであれば、同じ値下げ率でも310万が220万です。修理するのにそんなに原価もかからないでしょうから実際はもっとお手頃な値段になるでしょう。
中古の原付が割高な気がしてきませんか?
②中古になる車両が圧倒的に少ない。
今度は中古になるためには新車がどれくらい売れているのかみてみましょう。
例えば18歳の息子さんのスクーターを探している45歳のお父さんという想定で考えてみましょう。
そうするとお父さんが原付に乗ってたであろう1990年は年間販売台数は121万台。
2018年で14万台ですから、1/8以下になってるんですね。
そら中古市場に流れるスクーターも少なくなります。
さらに平均的な乗り換えのペースも5年ほどが主流だった時代から10年以上になっている昨今では中古スクーターはさらに少なくなっていくのです。
中古スクーターが稀少な乗り物になってきているのが分かってもらえますでしょうか?
③今時のスクーターは昔よりも過酷
2サイクルエンジン。ちょっとバイクに詳しい人であれば聞いたことあるんじゃないでしょうか。
一昔前の原付スクーターといえばこのエンジンが主流でした。
軽量コンパクトでパワーも出るので原付にもってこいだったのですが2000年頃を最終モデルに消えています。
排気ガスなどの環境規制値が厳しくなったことが原因です。
そこから4サイクルという車でも主流となっている比較的キレイな排気ガスにしやすいエンジンに変化していきます。
しかしそれからも定期的に排気ガス規制は強化され、どんどん原付に厳しい状況になっていきます。
排気ガスをキレイにするということは、単純なイコールではないですが、簡単に言うとパワーが出しにくくなります。
最初に説明した2サイクルエンジンの時は余裕をもって6馬力以上あったエンジン。今では厳しい排気ガス規制のなか頑張って頑張って4馬力くらいです。
これは50ccの原付スクーターのピストンと250ccのバイクのピストンの比較です。
こんなに小さいピストンが必死で頑張ってるのが今の原付スクーターです。
原付スクーターが80kgを50ccで動かす。
軽自動車が800kgを660ccで動かす。
いかに過酷な環境で今の原付たちが運用されているか分かるでしょうか?
しかも原付の設計はあくまで30km/hの制限速度で走ることを考えています。
さて実際はどうでしょうか?これだけでも負担が増えそうですよね。
他にもイロイロありますが、そんな理由から積極的に原付の中古はオススメしてません。
特に通勤や通学で使うのであれば何かあったときに失うのはお金だけでなく、大切な時間も失います。
原付スクーターを購入される時は、そんなことも考えながら選んでみてください。
竜輔