ホンダ N-BOX 車検
ホンダのN-BOXさんの車検をさせて頂きました。
この子とは最近チョコチョコ修理でお預かりしてまして、車検はその総決算としての入庫です。
そのチョコチョコ入庫の理由が

異音の修理
です。
低速でブレーキをかけたときににキーというかクーというか、何とも言えない音がするということで入庫されたのが最初です。
何度かお預かりさせて頂いたのですが、
預かって試乗すると音が出ない
という残念なことが続きました。
車検整備も他店で行っていたので整備記録もなく、10万kmも超えているためイロイロな可能性が考えられます。
といっても車検整備をしっかりとしてれば疑わなくて良い部分もあるのですが、ちょっと怪しい車検だったので。。。
本当は音が出てくれれば一発なのですが、なかなか異音が発生しないため予測で作業をしていきました。
まず一回目にお預かりしたときは4輪のブレーキを分解して清掃。鳴き止めの処置を施しました。

実際分解してみると、車検の時に作業をやってない雰囲気だったので、これで正常な状態に一歩近づきました。
が、やっぱり異音が発生。
2回目は一週間ほど預かったのにさっぱり音が出ない、困った異音です。
何もしないのも悔しいので、交換時期が過ぎてたエンジンの補機ベルトを交換して出庫します。

しかし、またまた異音発生。
お客さんに異音を録音してもらい動画を送って頂き確認しますが、何とも言えない音。
ブレーキ鳴きにも聞こえるし、何かの共鳴音にも聞こえます。
もちろんこうして何度も預からずに済ませたいのですが、予測で部品交換するのは完治するか分からないというリスクが高いです。
特に異音の修理の場合はフィーリングによる異常の認識です。ということは人によって感覚は違いますから、私が認識した異音とお客さんが認識した異音が違う場合もあるのです。
なので時間はかかりますが、何度も預かってまずは異音が聞けるように運転方法や環境を変えて努力してみること。
作業を実施する場合は今見える不調、ダメな部品を優先的に交換し、最悪外れても交換が必要になっているモノしか作業はしないようにしています。
お客さんのことを考えると、確信がもてないことにお金は使いたくないんですよね。
そうこうしてるとN-BOXさんも車検がやってきたので長期戦を覚悟してお預かり。
今回は各部の分解チェックをすると共に、一番怪しいブレーキ系統もフロントブレーキパッドは磨耗して交換時期にはなってるので交換するつもりでした。
しかーし、なんと預かりの瞬間に異音発生!
そのまま預かって音を追い込んでいくと、
CVTのコントロールソレノイドからの作動音でした。
可能性は確かにあるなとは思ってましたが、実際に音を聞くとすっきり納得です。

新車の時は問題ないのですが、低速のときにギアを切り替えるバルブが磨耗してくると音が出ることがあるんですが、その音でした。
ホンダだけでなくスズキや他の車種でも一時期ありましたね。
壊れていたり、動かなくなったりするわけではなく磨耗による作動音。感覚的には嫌な音ですが、動作的には正常な音です。
10万kmも超えてますので保証は効かないし、中古で購入されてますのでクレーム保証も難しいですね。
なのでその内容を説明して、お客さんには一旦持ち帰って様子見しながら検討して頂くことにしました。
修理も安い金額ではありませんし、走る/曲がる/止まるの車の必要な条件は満たしている状態です。
それに原因が分からず不安な気持ちで一杯だった時とは違いますので、それで心理的に楽になってそこまで気にならなくなる場合もあります。
感覚によるところが大きい異音の修理の場合、安心できる状態だと伝えることも修理の一つのカタチだと思っています。


あとはスゴく汚れてたエアコンのフィルターや消耗品を交換。
さらにキレイに洗車して車検は完了です!
今回のケース、たらればの話ですが、
購入してた時から異音は出てたそうなので、その時に異音をしっかり追い込んでいければもっと早くに原因が見つかり、保証で修理が出来ていたかもしれません。
とりあえず車検を通すだけであればどのお店でも一緒です。
選ぶときに、何かあったと訴えたときに、どこまで紳士に対応してくれるか、寄り添って考えてくれるかが重要なポイントだと思います。
車検を一瞬で考えて、何万円も払うとう気持ちは出来れば考え直してほしいです。
その後の2年間の安心を買うと思って車検を選んで貰えれば、もっと車にとってもお客さんにとっても幸せじゃないかと思います。
竜輔